以前、SPYDに関して、こんな記事を書いてました。

概ね意見の変化は無いものの、その後にDVYなるiシェアーズ 好配当株式 ETFを見つけました。
ネット界隈で「米国ETF」「高配当」で検索すると出てくるラインナップは、SPYDを始めVYMやHDVが関の山。
誰もDVYに関して言及している人が少ないのです。これまた意外。
個人的に、コロナ前後でSPYDを保有しておりましたが、金融緩和による景気刺激が行われ低金利下が継続するような、コロナショックでは、高配当・ディフェンシブ銘柄の戻りは非常に遅いです。
低金利下の金融緩和で強いのがテック株。コロナショック前の相場感、つまり、テック一辺倒の相場が形成され、あたかも「テック株が神!王道!不変!」と思い込んだわけです。
直近で言えばコロナショックの際に価格が戻るまでにSPYDだと、約1年かかったわけです。これを見て「戻りが遅すぎてダメだ」と売却してしまいました。
とは言え、投資の戦略もなく保有していただけなので、売ってしまったわけです。コロナ禍で投資の勉強も進み、今ではまた違った視点で見るようにもなりました。ここらでメモがてら高配当ETFのSPYDとDVYを対比しながら、活用方法と選択方法についてまとめておこうと思います。
もくじ
高配当ETFのSPYD・DVYの使い方
投資って年齢や予算、目的、インカム内容、家族構成などによって、全く優先度が変わってしまうので、万人にとって正しい運用方法や商品が無い。と言うのは、ここにきてだいぶ理解できました。
なので、「何の株を買えばいい?」と言う質問に対して答えるのは、かなり人生と人物をヒアリングしなければ最適解を導けないので「S&P500でも買っとけば」となるわけです。
さて、高配当ETFを選好する理由。改め選好すべき人物。は、どんな人なのか考えてみました。大きく2つ。
- 40代以上
- インカムがとりあえず欲しい人
かなと。個人的には、DVYを少しブックマークがてら保有しています。ただ、資産総額のゼロコンマ以下です。なので、高配当ETFと言う商品ジャンルは、基本的に推奨スタンスではありません。
高配当ETFは、5年~10年以上の比較的長期でみれば指数に対して100%負けます。特にSPYDのようにS&P500構成銘柄から抽出されている銘柄が多いと、S&P500指数には負けてしまいます。
よって、高配当ETFを保有する年齢が長ければ長いほど、資産効率が悪くなります。
他にも分配時に毎回税金が取られたりするので、複利効果が効きにくいのも一因。よって、どうしても高配当ETFをポートフォリオに入れたいのであれば、せめて40代以上になってからでも遅くないと感じます。
これはもうしょうがないですよね。インカム、配当に関して言えばS&P500指数だって1.6%ぐらい出ますし、世界株なら2%以上でます。それに対して3%以上欲しいとなると高配当ETFやRIET、個別株となってきてしまいます。
インカムがどうしても必要になってくるのは、おそらくFIREしたり定年退職後のリタイヤの際にインカムがあると、生活が安定しやすい。
つまり、資産を増やす段階では、インカムは必要ありません。資産を維持する段階でインカムが必要になります。
なので、どうしても高配当ETFが欲しいと。それで40代以上なら買ってもいいかなと思うのが、SPYDやDVYなのかなと最近は考えるようになりました。
SPYDとDVYの比較チャート
今回、SPYDよりDVYを選好する理由がパフォーマンスの差です。実際に5年チャートで見てみます。

経費込みの5年間リターンでSPYDが29.65%に対して、DVYは41.85%です。その差は、12.2%となり年平均2.4%もDVYのほうが好成績となっています。
さらに注目すべきは、コロナショック時の下落時に差が付き、その後の回復局面でも埋まることなく差がついてしまったことです。
とは言え、その前まで。2020年前は、ほぼ同等の成績になっています。
次に2022年の年初来チャートを見てみます。

2022年の年初来リターンでも下落局面を経て、リターンに差がついています。SPYDが-10.30%に対してDVYが-7.45%です。1年も経たずして約3%の差が出ました。
不思議なのが2022年6月の下落局面では差が付かなかったのに、8月からの下落局面ではやはり差が出てしまいSPYDが負けてしまいました。
こうして長短期間でSPYDとDVYの価格推移を見てもDVYのほうがリターンがよいです。
運用成績に差が出るのは、運用方針や運用会社がそもそも異なるのとSPYDは、S&P500構成銘柄が多数を占めるのに対して、DVYはそういった制限なく高配当銘柄から優良なものだけを選び、RIETなども含まれないのが特徴です。
SPYDとDVYの配当込みトータルリターン
次に配当を再投資した場合の運用リターンを見てみます。
SPYD | DVY |
1ヵ月-11.99 % 3ヵ月-10.39 % 6ヵ月-16.59 % 9ヵ月-11.17 % 1年-5.73 % 2年43.01 % 3年9.72 % 5年27.02 % | 1ヵ月-10.57 % 3ヵ月-7.14 % 6ヵ月-13.49 % 9ヵ月-8.53 % 1年-2.99 % 2年42.20 % 3年19.66 % 5年38.98 % |
5年以内の全期間でDVYに軍配が上がります。つまり、高配当ETFと言うカテゴリで言えば、SPYDよりもDVYのほうがどこを切り取ってもリターンがよいETFなのです。
このリターンには、税引前配当を再投資していますので、配当が多いほうが税引後ではないので有利です。しかしながら、DVYのほうがリターンが高くなります。
SPYDとDVYの経費率
手数料に関しては、かなり差があります。
SPYD | DVY |
0.07% | 0.38% |
これを見る限りは、SPYDを選んでしまいますね。DVYだと3年で1%以上取られているので、10年で3%のリターンの差は大きいです。
しかしながら、リターンを比較して分かる通り、手数料を加味してもDVYのほうが運用に関し有利だと言えます。
SPYDとDVYの分配利回り
こちらも差があります。
SPYD | DVY |
4.47% | 3.55% |
2022年9末現在でこの分配利回りです。これを見て何を感じるか人それぞれですが、分配利回り約1%の差です。
これをベースに考えるとトータルでの成績は、DVYが年2%程度よい。分配利回りに関して言えば、SPYDが1%程度よい。と言うことになりそうです。
分配利回りの推移を見ても分かる通り、SPYDの配当利回りは毎年4%ぐらいです。3.8%~4.9%の間をいったり来たり。その間、1口価格は上下しています。
SPYDよりDVYを推す理由
2022年9月末現在で相場がまた下落しましたが、SPYDはコロナ前高値を既に大きく割っているのに対し、DVYはまだコロナ前高値まで余裕があります。
上述の通り配当利回りで1%差が付くものの、トータルではDVYが年2%ほど成績がよいわけです。「高配当ETF」が欲しいならSPYDよりもDVYを個人的に推したい。もしくは、SPYDに入れる予算をDVYに別けてはどうか?と思います。
さらにFIRE後やリタイヤ後に高配当ETFのみだったり、大部分を高配当ETFにする予定の人なら、なおさらSPYDとDVYに分散がいいのかなと。
例えば、下落局面や上昇局面でもETFを売り崩す場合に、その時の価格で選択肢がある分だけリスク分散にもなるのではないでしょうか?