円安・インフレ時の米国株投資

円安と米国株

1ドル134円まで円安が進むとは、多くの人が予想していなかったはず。2021年末は、115円であった。実に17%近く円が下落した。

この時点で仮に投資しているドル建て商品の価格が変わっていなければ、円安のお陰で日本円として使うのであれば、17%の利益増となりドル建て資産が多い人にとっては、大変喜ばしい結果となる。

ただ、多くの人は、ドル建て運用で再投資もドル建てであることから、取り崩すタイミングや使用するタイミングが今より先であるはず。

このことを考えると目先の為替なんぞ、あまり関係がないとも思える。ドル建ての利息や配当に関しては、受取日の為替で日本円に所得額を直し、税金が算出されてしまう。

その為、ドルで受け取った利息や配当が仮に100万ドルで@133円の1億3千3百万だとすると、簡易的に2,660万円が納税額となる。

しかしながら、この100万ドルの配当や利息を円転せずに、再投資や保管しておくとする。2023年3月の納税タイミングで1ドル110円になっていると実質1億1,000万円の所得に。この時であれば納税額が2,200万であり、その差は460万円と為替によって実質納税負担率が変わってきてしまう。

とは言え、気になるのであれば納税分を円転し、翌年までプールしておくのが正しいのかもしれない。

円安時のドル建て米国投資の難易度

2022年末から16%上昇したドル。定番のS&P500やQQQ、VTなどの基準価格が変わらずとも、円建て評価額では16%も上昇する。

2023年の現状はそうではなく、S&P500であれば年初来16%のマイナス。つまり、2023年ベースで言えば、日本円換算における損益は、トントンになる。

では、2022年6月以降の円安時に米国株投資をする時、投資商品は何であれどのぐらい為替の影響を受けるとどうなるのだろうか?

1ドル134円。いつか日銀がギブアップし、YCCを0.25%から0.3%など容認し始めた時や米国のインフレ率が7%、6%などと下落し始めたと仮定し、1ドル120円まで戻るとする。そうすると9%の評価額マイナスとなり、S&P500で言えばほぼ年平均リターン1年分が飛ぶ計算となる。

1ドル110円ともなれば、マイナス18%。ここまで落ちると為替の影響で、S&P500年平均投資リターン約3年分が吹き飛ぶ計算に。

今からドル建て指数に投資するならば、最短でも5年は売却しない心づもりでいないと難しいかもしれない。為替のことは、どうなるか分からないが140円になってしまってからの投資もさらに難しくなる。

SPYDならどうか?

高配当で人気のSPYD。バリュー株が多く含まれることや高配当銘柄が多いため、年初来の成績は、他を圧倒している。2022年6月現在で年初来+3%とS&P500やNASDAQ100、VTなどと比較したらディフェンシブな動きと言えるだろう。

ただ、ここから微増、変化しない、多少の下落で年率3.5%の配当があるとしても為替の円高リスクは、110円でマイナス18%の影響があることを忘れてはいけない。

配当のみで5年分が吹き飛ぶことになる。SPYDは、高配当銘柄と言うことで爆上がりはそもそもしない。コロナショック時は、他と変わらず大幅に下落した。

為替の円高リスクとSPYDの基準価格上昇力。この2つを考慮にいれると今から買うのは、かなり難しいと思うのだがどうだろうか。

やはり、SPYDなどの高配当株式ETFは、下落時に買い増ししたい。運用期間が10年あれば、下落相場は必ずあるもの。その時にポートフォリオの1つとして入れたい。バリューかグロースかと言った相場の時に、S&P500やNASDAQ100と多少逆に動くSPYDは、有効かもしれない。

但し、コロナショックの時のようにSP500やQQQが元に戻っても、SPYDが戻るには1年を要したことも忘れてはならない。

社債や国債はどうか?

VCLTやBLVなど長期債はどうだろうか?基準価格は、かなり下落してきている。その影響もあり利回りも年率3%超えとかなり魅力的になってきた。

この先、インフレ率がさらに上がったとしたら、これらのETF価格がさらに暴落することになる。だが、長期金利が3.4~3.5%でストップし、また景気減速や何かの拍子に利下げが始めると基準価格が上がり始める。

配当に関しては、ほぼSPYDと同じレベルになっているので、あとは価格変動のみ。

長期金利が3年で落ち着き、4~5年目に少し下がることを見込んだ場合、5年計画年率3.6%で配当リターン合計18%。基準価格上昇で5%と仮定すると5年で23%リターンとなる。

為替が110円に5年後なっていれば、為替損益マイナス18%であるので年1%プラスとこれも買にくい。長期金利低下局面で必ず基準価格が上昇するが、円高を考えるとシビアだ。

しかしながら、高インフレと高金利が続く期間が数年と考えると、その期間のインカムを確保する為に一時的に資金を振り向けるのもありかもしれない。

短期的にはドル建て投資が難しい

投資期間が1~3年で見た場合、ドル建て投資が為替の影響でかなり難しくなってしまった。もちろん、5年以上の投資であれば、為替も考慮せず好みに応じた金融商品をドル建てで買うだけ。

流行りだったレバナスも同じことで、為替の影響を受けながらNASDAQ100の基準価格の影響も受ける。為替が今から18%下落すると仮定した場合、単純計算でトータルマイナス36%分の下落が控えていることにもなる。

逆に言ってしまえば、円高に振れる前に株式相場が上昇すれば上がるわけだが、今から年内上がるかと言えば上がっても数%ではなかろうか。

一気に上がればレバナスも上がるが、ジグザグに上昇するとほとんど上昇しない。

こういった状態だとやはり積立投資がベストかもしれない。ただ、統計的には、一括投資が同様の商品であれば有利であるので、難しい部分もあるが時期を複数回分けることで対処可能でもありそうだ。

S&P500最高値をキープ

S&P500に関して言えば、為替を考慮すると昨年の最高値をほぼキープしている。今後、市場がどうなるのか。円安がどうなるのか。その予測によっては、一旦現金化して手許現金を厚くするのも1案。

米国の景気後退入りかどうなのか未確認であるし、ウクライナ情勢、インフレ対応の行く末も。

本当に円高になるのか分からなければ、この先1ドル150円が定着することも分からないが、弾が全くない状況は避けたい時代だ。

sp500 S&P500の下落と買い時

の末尾に追記した。為替は分からないが、S&P500に関しては、底が見えそうな位置にいるのは間違いない。回復平均3年と言うものがあるが、底付近で買いたいなら今から少しずつ買うしかない。相場はいつも、底を這うことは少ない。

ドルと米国への信認や如何に

結局のところ日本や円の信認と言うよりも、ドルの信認がどうなるのか。米国株がどうなるのか。中長期的には、そこが懸念点。

ウクライナが元の国境まで戻し、ロシアに恥をかいてもらわない限り、米国の信認が揺らいでしまう。

米国がウクライナで恥をかくと、ドルと米国株にも影響が必至。人民元やユーロ他のシェアが上がり、ドルのシェアが下がる。S&P495の見解もある。GAFAMが無ければ、米国株のこれまでの上昇は無かった。

仮に今後のGAFAMが弱くなると仮定するとTOPIXなみのリターンに落ちる。そうなると為替リスクを取る必要はなくなるし、日経平均やTOPIX投資、VTなどへの投資がベストな時代が来てしまう。

今のところドル建て運用が多い人は、昨今の円安インフレに対応可能であった。日本円だけの運用だと、物価の影響を相殺できない。ここまでの結果は、2022年に明らかになってしまった。暫くこの状況は、変えられないがこの先どうなるか。

円安が続くわけでもないが、この先日本国内のインフレはどうなるか分からない。

とにもかくにも、変数が多すぎて円安と世界的なインフレだけはないことが、ドル建て米国株投資を難しくしている。ジェイソンならぬ、VTがシンプルか・・・。

消費者物価指数が下がらない 2022年6月11日

消費者物価指数が発表されたが前年対比同月8.6%の上昇。食品とエネルギーを除いたコア指数は、6.0%。先月より0.2%下落した。

FRBのインフレ対応が明らかに遅くなってしまった。正直、今投資すべき金融商品がない。かと言って、現金保有を増やしてもインフレ負けをしてしまう。

強いて言えば、債券でクーポンを得つつ、物価指数が3カ月連続低下したぐらいでアセットクラスの見直しをするぐらいだろうか。

それにしてもこのインフレと金利上昇の影響が顕在した時には、さらに下落が進みそうだと確認できる段階になってしまった。これでバリュー株、大型株の決算が悪化していけば、いよいよ景気後退局面が鮮明になり株式市場が元に戻るまで10年待ち、ないし20年待ちとなるのかもしれない。

ドットコムバブル崩壊が再度やってきているとすれば、20年元に戻らない。

ドットコムバブルを知らない世代がバブルを作り、コロナバブルが弾け同じことが繰り返される。今の相場は難しすぎる。

日本のインフレ率が多少、抑えられているのが救いだが、3%・4%と上がってくるともう大変。円高に進めるしかない。そうなると円建て評価額が下がり、投資家心理もさらに冷え込む。今回の谷は、何やら深く長そうだ。

少しCPIを調べてみると米国では、1980年以来の8%突破だそうだ。実に40年ぶりとなる。ちなみにこの時のCPIは、14%だった。毎月1%ずつ値段が上がっていく世界は、想像するだけで恐ろしい。8%を超える高インフレは、実に約5年続いた。この間、長期金利が5%を超えることとなる。

2021年から始まった米国CPIの上昇は、未だ止まっていない。頭打ちかどうかも現状断定できない。高インフレが続いた場合、数年単位で継続し、その間、長期金利は高止まりすることになる。上げすぎればクラッシュすることになる。その間、経済が平常運転であれば株式市場も安心できるが、経済に悪い情報が出てくれば株式市場が3~5年以上の停滞を迎える。

クラッシュするか長期停滞と見込み、高配当株や債券などインカムを増やすか。下落や停滞が1~2年と見込み株を拾っていくか判断が難しい。

本当に難しい・・・。無理に金融商品を買う必要は無いが、このインフレ下での貯金は、毎年数%で現金価値が下がる世界。貯金は本当にあり得ない。とりあえず6月14,15日のFOMC前に多少債券を仕込もうかな。あ、円安で数円円高に振れたら1年分の利息が吹き飛ぶんだった。

ドルで生活してる人は有利だな~。為替を考慮する必要があまりない。そりゃ国としても企業としても成長しやすいわ。

とドル建て投資を必ずする必要は無いと言う灯台下暗し。国内株で年3%出せれば、ドル建て債券よりマシか。1ドル140円150円になる可能性もなくはないが、2022年は日本株のウェートを上げてもいいかもな。とぶつぶつ考える。

2022年6月15日 FOMC

予想0.75%でちょい上げ。0.5%で失望売り。と予想。16日17日の日銀の為替対応も気になるが、どうなろうとも仕込み続けるゾ!弱気相場入りで下落期間平均が1年。回復平均が3年。5年か6年待つ投資と腹をくくる。

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