SPYDが人気No.1の結果に対して思うところ

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ぽんつ
ぽんつ

SBI証券発表の米国株ETFランキングで堂々の1位となったSPYD。個人的にまだSPYDにシフトする必要性が無いのもあり、驚愕の結果だっため考察してみようと思います。

SPYDとは?

SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(ティッカー:SPYD)は、S&P500高配当指数の値動きに連動するETFで、S&P500銘柄の中から配当利回りの上位80銘柄前後のポートフォリオで構成されています。S&P500に採用されている優良銘柄の中から、高配当の銘柄を厳選したETFと言うことになりそうです。

SPYDは、2015年10月から開始されたETFで比較的新しいETFとも言えそうです。チャートを見ても2016年からのデータしかありません。

一般的に高配当銘柄やファンドと言えば、基準価格や株価が一定のレンジで前後ないし、微増が定番。その代わり高配当を約束し、インカムを受け取ることが出来るのが普通です(もちろん、優良銘柄なら株価も配当額も右肩あがり)。

ただ、配当を出すけども基準価格がどんどん落ちていくような株、投資信託、ETFもありますが今のところそういった気配は、SPYDからは感じません。と言うのもS&P500銘柄に採用されている中からのみ、高配当銘柄を選択しているからですね。

SPYDの経費率

SPY(S&P500指数連動ETFでSPDRのもの)の経費率が0.0945%に対し、SPYDがなんと0.07%。実は、少し安いんですよね。500社を集めてコントロールしているSPYより、80社前後のSPYDのほうが社数が少ないから安い。と考えれば妥当かもしれません。

経費率だけを見るとSPYDって少し安いと言うことになりそうです。

SPYDの利回り(分配回数)

SPYDの利回りは、2022年2月現在で3.6%です。コロナ前は、5%近くありましたが4%台が多く、コロナの影響で分配の停止、分配額の減少もあり3%になっています。債券的に基準価格下落で利回り上昇。基準価格上昇で利回り低下。と言うわけでもないのが、高配当株式ETFの特徴でもありそうです。

分配回数は、年4回で3月・6月・9月・12月に分配があります。1回あたり現在だと0.9%分ぐらいが分配される見込みです。

SBI証券でSPYDが総合No.1

驚愕でした。総合1位を獲得したSPYD。前述しましたがコロナ前に保有していました。コロナで暴落、SPYDの推定PERが割安になったのもあり、下げては買いのナンピン。その後、他の商品が上がる(戻る)中、なかなか戻りが遅かったSPYDに嫌気がさし、ナンピンでトータルとんとんになった段階で売却。その後、他の指数へ再投資となった経験がありました。さて、まずは順位の中身を。

項目(2021年)SPYDの順位
保有銘柄ランキング1位
NISA買付人気ランキング1位
10代デビュー銘柄ランキング1位
20代デビュー銘柄ランキング1位
30代デビュー銘柄ランキング1位
40代デビュー銘柄ランキング1位
50代デビュー銘柄ランキング1位
60代デビュー銘柄ランキング3位

保有ランキング1位

これが日本人を遺伝子レベルで表していますよね~。SBI証券で米国株投資をしている人の中で、もっとも保有されているのがSPYDなわけです。S&P500指数に投資せずに、S&P500銘柄の高配当のみで配当をもらいたい人がかなりの数いると言うことですね。

日本人が配当好きなのは、世界的にも知られています。世界には、毎月分配型投資を嫌う傾向にありますし、そもそも税制や資本運用面で圧倒的に不利なわけです。某外資系証券会社の人も「日本人が配当好きだから、日本人の為にうちの証券会社で初めて毎月分配型のファンド作ったんですよ(カモの為に)」と昔聞いたのを思い出しました。

ただ、高配当が悪いとか、ポートフォリオに入れるのは間違っていると言うわけではないです。もちろん。

NISA買付人気ランキング1位

これも意外でした。NISAってキャピタルとインカムが非課税になるので、大きなキャピタルとインカムを生まなければ税制効果が弱いわけです。

SPYDを買うってことは、一般的には長期5年前後以上の保有の高配当狙いですよね?なのにNISAで買うってことは、その間の配当を非課税にするには、分配後の基準価格が上がってないと非課税にできない。つまり、もともと非課税でない分配が発生するリスクがありながら、NISAで枠を使ってしまうのはどうにも。

ただ、NISAしか運用しないぐらいであれば、NISA枠でSPYDを買ってもよいかもしれません。

10代~50代の米国株デビュー銘柄No.1

すごい!10代~50代の初めて米国株デビューした人が、もっとも買っているのがSPYDと言うことです!!!!!猫も杓子もSPYDってことですね。

特に若い世代でSPYDってFIREの流れでしょうか。インカムで生きていくのを実現する為に、最初からSPYD買っておけ。最初のうちの配当は、再投資でSPYDってことなのでしょう。個人的には、SPYDを10代~40代が投資するならSPYのほうが資産成長を考えるとよいと思うのですが、何か配当毎月もらえること意外に理由があるのか謎です。

SPYDで再投資をするなら、SPYで増やしていたほうが最終的にFIRE前の数年で、SPYDに乗り換えたとしても口数は、SPYで始めたほうが多くなるはずなのですが。

ただ、高配当ものをゼロにすると言うよりも、少し入れておくのはメンタル安定化とバリュー株が強い時期を捉える意味でも、10%~20%ぐらい入れてもよい感じはします。

60代の米国株デビュー銘柄3位

ここでようやく3位に。やはり、リタイア層がSPYDを購入するとなると多少の違和感がありますね。退職金や年金などもある。

ちなみに1位は、VOOでした。60代の感覚が正しいような気がします(笑)10代~30代で何故SPYDか?60代の人がVOOを1位で選んでいる。

税制や売却タイミングを把握し、人生経験豊富な人たちがVOOを選ぶのは良く分かります。60代でスタートして70歳を目途に売却する目標を立て、暴落しても70歳~73歳ぐらいで戻ったところで全部売却する。こんな感じだと暴落を回避し、配当と言う納税を避け、複利で多少なりとも10年前後運用できることになります。

ちなみに2位は、個別株のアップルでした。60代が選ぶのですから、企業寿命としても「あと10年は大丈夫だろう」と思って買う銘柄。納得できます。

年代別で見てもSPYDがランキングに入りますが、60代だけが1位ではありませんでした。これを「高齢だから」「投資経験豊富だから」など、どう理由を付ければよいかは分かりませんが、年代別のランキングで見ると唯一ロジックが分かりやすいのが60代だけでした。

SPYD(S&P500高配当)とSPY(S&P500)のリターン比較

ここでS&P500の高配当銘柄で構成されているSPYDと、S&P500指数に連動したSPYのパフォーマンスを比較してみます。トータルリターン(分配は再投資)ベースの利回りになります。

SPYDSPY
1年31.89%20.90%
2年23.21%41.76%
3年33.45%72.25%
5年53.69%112.29%

局所的に見ると高配当銘柄の回復局面が暴落後に必ずあるので、バリュー株優位の「SPYDのほうがパフォーマンスが良い期間」が必ず発生するものの、やはり総じてS&P500指数のパフォーマンスが上回ります。

2年以降で2倍の差が付きますので、この差を捨ててまでSPYDを選ぶ理由って何だろう?と今では思います。

コロナ暴落途中にホールドしていた身としては、何も考えずに日本人らしく「毎月給料のように、ただ配当が欲しい」それだけの理由でチョイスしていました。

中長期で見た場合に高配当銘柄がそれ以外の指数銘柄に勝つ。と言うのは、あり得ないともう研究結果として明確である以上、高配当銘柄をコアとする戦術は、極端で配当以外のパフォーマンスをあえて捨てているとしか言いようがない。と考えるようになりました。

SPYDの高配当がデメリットであると言うこと

SPYに対して2倍の運用差が付くSPYD。SPYDの魅力は、配当利回りがよいこと。そして、年4回配当があることです。その代わり、リターンが長期でS&P500に負けてしまいます。S&P500の配当が無かったとしても、年平均7%以上あるS&P500。下記の記事でもまとめましたが、SPYDをチョイスすると言うことは、配当をもらう代わりにパフォーマンスを低下させてもよい。のと同義であるとも言えそうです。

sp500 最新!S&P500の年別リターン

SPYDのメリットは売り時の盲目化?

投資で最も難しいのが売り時と言われています。SPYDのメリットが配当である。と言うのは、取り崩す際の盲目化。目隠しで投資できるのがメリット。つまり、売り時から逃げる投資であるとも言えます。

投資したら最後は、売ります。売る時は、死ぬ時ではありませんし、お金がすっからかんになった時でもありません。一番難しいのが取崩しです。

SPYDを買っておけば、とりあえず売却タイミングを探ることなく、分配だけもらっておいて頃合いが来たらクローズしよう。そういった盲目的な投資で使うのが最強のメリット。

さらにFIREをするにでもSPYDに集中投資して、月〇〇円もらえるようになるまで、仕事を続ける。など、目標の見える化もしやすい(基準価格下落時の配当リターンがリスクなのは、おいておく)。

そう考えるとリターン云々よりも、投資スタイルとしてのSPYD。これなら理解できそうです。つまり、SPYDよりリターン良いからSPYでしょ。ではない、「売る時のこと考えたくないからSPYD」と言われると確かにと理解できそうな・・・気もします。

SPYDが人気?のまとめ

個人的にもSPYDの保有経験があり、年4回の比較的高配当に魅力を感じ、買ってしまう心理はよく理解できます。ただ、今回のランキングは、米国株投資をスタートした人のランキングであり、スタートから5年や3年経過後だと変わるかもしれません。さらに、暴落前後でも異なるかもしれませんね。

SPYDの配当時に20%の税金が毎回かかると言うのは、年間期待リターンの一部が毎回20%減ることになり、長期運用時の複利効果が落ちてしまう。また、2年以上の累積保有でS&P500にもトータルリターンで負けてしまう。

この2点のデメリットを超越するメリットが高配当年4回分配。である。と考える人が大勢いるのも事実。もしくは、理解していない?そんなことは無いと思いますが購入者が多い。

「日本人は高配当が好き」と言うデータからも、日本人的な特性がこの結果を作り上げている。とすれば、こんな悲しいことはない。世界の時価総額ETFランキングでもSPYDは、一切出てこない。

「投資」と言う観点からは、SPYDはあり得ない。「投資スタイル」でしかSPYDは、語れない。と言うのが個人的な結論となりそうです。リターンを求めているならSPYDを選ぶ必要はない。年4回の比較的高配当をもらう必要性が激しくあるならSPYDか?

2022年7月 SPYDの追記

バリュー株全盛になり、ハイテク株から資金が流れディフェンシブ銘柄に集中。SPYDは、2022年上半期高パフォーマンスでした。資源関連株が高配当であったこともあり、少し錯覚を起こしそうな感じもします。

ただ、毎度のことこの先、市況がよくなり回復する局面で他の一般的な指数に抜かれ、最終的には2倍以上のパフォーマンスが何年後かにつくことになります。

投資目的や年齢にもよりますが、資産成長を優先しているのであれば、SPYDなどの高配当ものはポートフォリオのごく一部にし、他のシンプルなSP500にウェートをおくのがベストだろうと結論に至っています。

自社株買いが禁止されるようなことがあれば、配当に回すかもしれませんので、そうなるとSPYDがさらにフューチャーされそうですが、それは投機ですから難しいところです。

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