
先日、SPYDが特定投資家の間で人気No.1だったことの考察を書きました。


今回は、保有ランキングに食い込んでいるVTIについての考察です。VOOで良いと思うのですが、何故VTIも人気なのか考えてみます。
もくじ
VOOとVTIの違い
名称 | バンガード S&P 500 ETF | バンガード トータルストックマーケットETF |
ティッカー | VOO | VTI |
概要 | S&P500指数の投資パフォーマンスに連動。アメリカを代表する企業500社へ投資。 | CRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動。米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%をカバー。 |
配当 | 1.3%(年4回) | 1.28%(年4回) |
手数料 | 0.03% | 0.03% |
総資産(百万USD) | 269,701 | 284,843 |
VOOとVTIを比較すると配当や手数料などは、ほぼ同じ。ETFに投資されている金額もほぼ同じで30兆円ほど。ただ、SPYやIVVなどもありますし、S&P500指数VS全米株だとイーブンではないかもしれません。
違うとすれば投資対象が米国株全部に投資するか、S&Pが選定した500銘柄であるS&P500指数に投資するかの違い。
投資しようとしたらどうなんでしょう。こんな感じでしょうか。
VOO | VTI |
「全部に投資せずとも、主要500社で十分。全部に投資しては、ゴミ株にも広く投資することになるから。」 | 「総貨幣量が増えているし、GDPもプラス成長。だとすれば、米国株全体に投資することで必ず成長できるから。」 「全米株に投資すれば、リスクが少なく(値動きがマイルド)投資できるから。」 |
など、色々な意見が出てきそうですが個人的には、ロングテールで前だけ拾っておけば、よくも悪くも全体に投資した場合とほぼ一致するので、あえて全体に投資し効率を下げる必要はないのではないか。と考えています。
では、実際のパフォーマンスも見ていきたいと思います。
VOOとVTI 1年チャート

2022年2月以前1年間のチャートを見ても、ほぼ同じ値動き。S&P500銘柄でも全米株でも基本的にほぼ相関していると言えそうです。
ただ、5%ほどVOOのほうがパフォーマンスが良い状態です。直近3カ月の騰落率を見てみると。
VOO | VTI |
-1.49% | -3.86% |
「全米に投資すれば、幅広く投資するのでリスクを抑えられる」と考えることも出来ましたが、実態としては、資金が抜ける際に割高テック系も踏まえ、小型株や人気のないところからは、徹底的に資金が抜けることにより、全米に投資したほうがリスクが高い(下落幅が大きい)結果となっています。
つまり、下落時には優良銘柄からも資金が抜けるものの、それ以外に比べたら抜けにくいと言うこと。
あくまで1年や3か月の短期で見ればの話ですので、5年や10年で考えればどうなのかも見ていきます。
VOOとVTI 5年チャート

5年で見ても最終的には7%ほどVOOのほうが成績が良くなっています。但し、5年で見るとほぼ連動しており、これを見る限り「お好きなほうでいいのでは?」ともなりそうですね。
直近5年で唯一、VTIのほうがパフォーマンスが良かった時期が2021年の前半。ちょうど、イケイケどんどんの時でIPO銘柄だったり、テック系の企業にもお金がじゃぶじゃぶ流れていた時期です。つまり、全米株の小さなところまで資金が回り、全体としてパフォーマンスが上がったと言えそうです。
その後は、小さいところから抜け、中型、大型と抜けていき2022年1月からの下落相場では、やはりVOOのほうがパフォーマンスがよくなっています。
VOOとVTI 10年チャート

OMG!10年で見てもやはりほぼ同じです。S&P500に投資しようが全米株に投資しようが「ほぼ同じ」。10年で15%の差が出ていますが、その差も2022年1月の下落で差が付いたもの。
コロナショックやアップルショックも含めて、下落時にVTIは弱いかもしれません。
長期投資家にとって売り時に不利が起こらないようにポートフォリオを組みたいもの。それを考えるとVTIとVOOならVOOのほうがリターンが同じで、下落局面での売却リターンが良いと言えそうです。
VOOとVTI違いのまとめ
・VOOとVTIのパフォーマンスはほぼ同じ
・VTIは、下落局面で多少弱くなる傾向
・セクターローテーションなど上昇相場のピーク前後でVOOが多少弱くなる傾向
VOOをコアとして検討し、中長期投資を行うのであれば、これまでのバックミラーを見る限りVOO1本で十分だと考えられる。ポートフォリオにVTIを入れることで、よりS&P500指数でのコア運用が強化される。
上昇相場でのセクターローテーションや中・小型株へ資金が流れる際にも、VTIを入れることでより標準化が出来そうだ。ただ、長期投資で手間なども考えるとVOO1本で十分かもしれない。
VTIをコアにしようとしていたら、VOOにしたほうが良いかもしれない。長期投資でVOOとほぼ同一パフォーマンスになるものの、調整局面や暴落時には、VOO以上のリスク(下落幅)がある。
それを考えるとVTI一本であるならば、VOO一本のほうがマシ。どうしてもVTIを入れたいのであれば、VOOも2~5割ぐらい入れることで弱みをカバーできると考えられる。
個人的にもVOOを持っていますがやはり全米株VTIで悩みました。今回調べてみた感じで、長期投資ならやはりVOOとVTIを見るとVOOでいいやと感じたので、今のところ自信をもってVTI買うならVOOでと言えるかなと。
今後、世界の資金量がさらに増えてきて、上位銘柄の時価総額が超割高だと考えられるようになった場合、例えば、大型の中で資金が滲みだして全体的にPER15倍が割安だったのが、PER20倍で割安だと考えられる時代とか(数値は例えばで)。
そういった時代の変わり目で、小型中型株も入るVTIのほうがパフォーマンスが良くなる可能性は、多少なりともあるかもしれない。つまり、幸せな投資環境が淡々と続くような市況と言えそうです。
ただ、今のところ資金が高みに集まる資本主義経済となっているので、10~20年ぐらいはVOO優位に変わりないのではないか?と考える次第です。