SBI株オプションを使ってみた

米国株では、オプション取引をよく使っていたものの日本株では、そもそも個別株オプション取引をやっているところがない?ので使えなかった。

SBI株オプションが初心者にも優しい取引手法のみに制限されリリース。これをきっかけに日本株のオプション市場も広がることを願いつつ、SBI株オプションを使ってみた。

SBI株オプションとは?

2022年にリリースされたSBI株オプションでは、主にプット売りとコール売りの2種類のみの提供となっている。オプションの概念が分からない投資家には、なかなか難しいところだが、かなりSBI株オプションは、分かりやすくなっている。

ターゲットセル(コール売り)

SBI株オプションのターゲットセルは、既に保有している銘柄を売却する方法。指値売りとどう違うかと言えば、指値売りだけだとその価格で売るだけだが、1週間後に判定と言うリスクと引き換えに利息のようなプレミアムをもらえる取引。

指値に引っかからなければ、売れずにプレミアムだけ受け取れる。指値に引っかかれば、ターゲット価格で株を売却しプレミアムを受け取れる。つまり、どちらにしても1週間後に判定するリスクや1週間後にさらに値上がりしている、機会損失を放棄する代わりにプレミアムが受け取れる商品。

どうせ売るならプレミアムをもらって売ろうか?売れなかったら、もう1回ターゲットセルするか売りを辞めるか。など、投資方針で変えられる。

「どうせ売る」と言うのであれば、それ以外の大きなリスクは、「売れないリスク」「値上がりして悔しい想い」ぐらいだろうか。

ターゲットバイ(プット売り)

これは、買いたい銘柄があって、「そろそろその株を買ってもいい」と考える時に使える取引方法。

また、投資資金が入ってくるたびに定期買付しているような場合でも、ターゲットバイで指値を入れつつ下がったタイミングで購入できるので、そういった使い方もできる。

リスクとしては、上げ相場だとするする上がってしまって、買えなくなるリスクがある。

それとは逆に、するする下げて行ってもっと割安に買えたリスクもある。

レンジ相場だったり、ブルトラップかどうか分からないシーンだったり、上げ相場の中の調整局面だったり、指値で買ってもいいけど、プレミアムもらって買えなくてもいいかと考えるシーンには、良いのかもしれない。

SBI株オプションを使うには?

これが難儀した。SBI株オプションを使うには、「信用取引」「貸株サービス」「FX株券担保サービス」「証券担保ローン」を解約している状態でなければ、使えない。

このうち個人的には、信用取引口座が開設してあり、貸株サービスを使っていたので、これらの解約からスタートすることとなった。

どちらも解約に1週間ほどかかり、合計3週間かかった。

信用取引口座は、日本株の信用取引口座なのだが、米国株取引でも円買いや円受取など円での信用状態が発生している場合、信用取引口座が解約できないのだ。

これが判明するまでに電話で1回。メール問い合わせで3回。合計4回を経てようやく「なぜ信用口座が解約できないのか?」問題をクリアできた。

結構、ガチガチに証券会社側のリスク回避が行われているが、個人的には、過剰で意味のない制約が多いと感じる。

例えば、貸株サービスなんかは、投資家の考えで貸株する銘柄とそうでない銘柄が存在する(市場的にもOK銘柄とNG銘柄がある)。それであれば、貸株中の銘柄は、SBI株オプションを使えないようにシステムで制御するだけでいい。

SBI株オプションが使えない、流動性が低い銘柄などがそもそもあるのだから、その銘柄は、貸株で使いたいのは当然。

ここら辺のサービスの仕組みは、かなりの改善の余地があると思われるが、SBI株オプションを使うには解約する必要があるので仕方がない。

SBI株オプションのプレミアム

投資家が期間と値動きのリスクを取る代わりに、それに支払われる対価として「プレミアム」がある。

(例)ターゲットバイのプレミアム

例えば、株主優待やアフターコロナ銘柄としても一定の人気があるJAL。これをターゲットバイ。つまり、1週間後にターゲット価格以下になっていれば、その価格で買いプレミアムをもらえる。

「JALの株を今の価格なら買っても良いから、1週間後に2%以上価格が下がっていれば、2%の価格で買うよ」と約束すれば、年率23.9%のプレミアムがもらえる。

但し、1週間の期間なので実際には、23.9%÷12カ月÷4週間≒0.5%となる。

1株2,800円だとすると2,800円×100株×0.5%=1,400円

1,400円がプレミアムとなり、結果がどうであれ1,400円がもらえる。ただ、SBI株オプションの場合、このプレミアム分が取得価格から差し引かれるので、取得価格が2,800円ではなく、1,400円÷100株=14円差し引かれ@2,786円での取得となる。

つまり、SBI株オプションの税金に関しては、キャピタルゲインで清算することとなり、売却するまで非課税と言うことになる。

プレミアムの利率は、一見良さそうに見えるが1週間単位なので、相当な確率で約定するシステムになっている。

本来のオプション取引だと期間も指定できるので、ここまで資本効率が悪くはならない(年率24%にできる確率は、限りなくゼロに近い)。

ただ、100%。つまり、今の価格で1週間後に買うのであれば年率62.51%となり、実質1.5%とそれなりの数値になってくる。「どうせ買う」のであれば、1.5%をもらって買ったほうが良いに決まっている。

プレミアムのみなら雑所得

ターゲット価格にヒットせず、株式売買が行われない場合のプレミアムは、雑所得となる。入出金明細に「その他」と表示されるようだ。

投資家にとっては、源泉徴収ありの特定口座で確定申告ナシにしている場合は、余計な?収益となるので邪魔かもしれない。

SBI株オプションは使えるのか?

個別株で普通のオプションが使えると使いやすいが、SBI株オプションは1週間の期間なので、ローリスクローリターンになっている。さらに最大2%のクッション(価格差)しか取れない。

が、「どうせ今売るなら」「どうせ今買うなら」なのであれば、1週間後に今の価格で売買し、プレミアムを1%ぐらいもらえれば、まあ悪くないのかもしれない。

計算上は、12カ月×4週間≒50で年率を割るとプレミアムが出てくる。1%のプレミアムをターゲットセル、ターゲットバイで得るには、年率50%が目安になりそうだ。

一方、プレミアム取得を主眼におくと1週間と言う固定された期限とクッション最大2%と言う2つの条件が、投資家にとっては不利。オプションでは稼げない。

投資家によって異なるだろうが、信用取引をやるかやらないか。貸株を使った場合のリターン比較。ここら辺を検証しないとSBI株オプションの優位性が分からない。

ちなみに日本市場で上場しているETFやRIETもSBI株オプションが使える。最低単位が100株となり、場合によっては金額が大きくなってしまうが、「どうせ買うなら」「どうせ売るなら」1%取れるので良いかもしれない。

売買手数料ぐらいは、相殺できるのではないかと思う。

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